2015年 03月 10日
他に何も要らなかったのに
透明な水と太陽と木の実と果物と小さな畑さえあれば
他に何も要らなかったのに

ある日ぴかぴかの船でやって来た男たちが
「お前達 裸同然で恥ずかしくないのか?
それにこの貧しさ!
もっと豊かな暮らしを教えてやろう」
と言って
木木を切り倒し
土を砂や小石で固めたもので埋め尽くし まだ息をしていた草を薬で枯らした
金属とガラスで背の高い建物を建て
湿気や暑さ それに寒さまで防ぐ機械を取り付け
その中で一年中長袖の服を着て過ごすようになった人々は
自分達の元居た場所がわからなくなってしまったので
金属とガラスでできた機械に乗って虚しく走り続けるようになった
くっきりと舟影が映っていた水底の珊瑚は
最初にやって来た男達の仲間や海賊を乗せて運ぶための
ピカピカの大きな船や空飛ぶ船が出入りする港の下敷きになり
イルカも魚たちも豊かな暮らしから流れ出る毒に殺られて姿を消した

水は 海は黒く濁っていった

澄んでいても毒を含んでいた

未来永劫消えない毒を贈り続ける
善い人にも 悪い人にも 平等に
King Crimson – Islands
風の下に 波は変わる
永遠のやすらぎに
島々は手を携えあう
天の大海の下に

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by nanoo6B
| 2015-03-10 23:40
| 思うこと